メッキは奈良時代に中国から伝わったとされています。今では金メッキはすっかり剥がれてしまっているのですが、奈良の大仏は元々は金メッキが施されて金色に光り輝いていたのです。
水銀は常温で液体ですが、他の金属を溶かしやすい性質を持っています。他の金属を溶かし込んだ状態の水銀をアマルガムと言います。金を溶かし込んだ液体状のアマルガムを銅の板に塗っていき、塗り終わり加熱すると水銀だけ蒸発し、後に薄い金の膜だけが残ります。これが古代から伝わる金メッキの手法です。
メッキという言葉の由来には諸説あるのですが、1番有力なのは、水銀アマルガムメッキから来たという説です。金色に美しく輝く金を水銀に溶かすと、水銀に取り込まれ金特有の美しい輝きがなくなってしまいます。それを昔の人は金が失われてしまったと言って……「滅金」と表現し、それが変化してメッキと呼ばれるようになったらしいのです。(諸説ある中の一例です)
ちなみに水銀を蒸発させると水銀の蒸気があたりに充満し、それを吸った人の多くが命を落としたといいます。水俣病の原因としても知られているように、水銀は猛毒だからです。だから水銀アマルガムメッキは実は危険で恐ろしい手法だったのです。当然そんな恐ろしいやり方は現在では十分な換気の元で行わないと許されていません。しかし昔から水銀は長生きの薬とか、梅毒の特効薬として使われ、その結果として多くの人の命を奪ってきたのです。